歳時記

葬儀と時間配分

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私は数字に弱い。
数字が嫌いなのだ。
足したり引いたりが苦手で、よく間違う。

だから火葬の時間が決まっている葬儀は、進行に細心の注意を払うのだ。

開式から出棺まで1時間であれば葬儀30分、初七日10分で計40分。
そのあと、花入れ(会葬者のお別れ)が20分。
これが目安である。

表白を読みあげたり、あれやこれやの読経があるので、時間配分のため進行状況の把握は何より大事なのだ。

10時とか11時、あるいは10時30分など区切りのいい時刻の開式であれば、アナログの腕時計をさっと見るだけで、進行状況がわかる。

問題は10時15分など区切り悪い時刻の開式である。
私は腕時計をチラリと見ながら進行状況を確認するのだが、何しろ足し算が苦手。
腕時計を睨む時間が長くなれば読経がおろそかになるので、チラチラチラっとしか見ないため、足し算がうまくいかないのである。

ならばと一計を案じ、進行時間をメモにして葬儀に臨んだところが、
「あのう、お花入れに時間を取りたいので10分ほど早く開式したいのですが、いかがでしょうか?」
と、葬儀社の方が言ってきたり。

10時15分の開式が10時5分になってしまい、メモは役に立たず、私の頭は混乱するばかりなのである。

いい方法がないか昨夜、知恵者を自認する愚妻に相談すると、
「そんなこと、自分で考えなさいよ」

新年早々、冷たいことを言う。
尋ねた私が愚かだったのだ。

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