学生時代、OBからのお声掛かりで、先輩にくっついてクリスマスケーキをつくりに埼玉の工場へ行ったことがある。
一週間ほどだったか。
会社の寮に泊まり込みである。
他大学の人たちもいて、連夜のマージヤン。
負ければバイト代がパーになるので、必死になって打った。
たぶんトントンだったように記憶している。
ケーキ作りはベルトコンベアの流れ作業で、目の前を連日、朝から夕方まで大きなショートケーキが流れてくる。
エンドレスである。
私はケーキは好きだが、なぜかショートケーキを避ける傾向がある。
それが不思議だったが、原因はひょっとしてクリスマスケーキづくりがトラウマになっているのではないかと、昨夜のイブにふと思ったことである。
先程、愚妻にそのことを話すと、
「あっ、そ」
それでおしまい。
感動も何もあったもんじゃない。
「トラウマだぞ、ショートケーキだぞ、クリスマスケーキだぞ、大発見だぞ」
「うるさいわね。ケーキを買ってこいって言ってるの?」
邪推するのである。
人間は素直でなくてはいけない。
邪推は人間関係をみずから壊すことになる。
年の瀬に改めて思うことである。