歳時記

世代交代の足音

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 今年は『紅白』を観た。
 私にとっては、異例である。
 例年、早々と7時か8時にはベッドにもぐりこんで本を読むのだが、
「歳を拾うと、紅白が終わるまで起きていられないそうよ」
 という愚妻の一言で、
「よし!」
 と気合いを入れた次第。
 それに、歌番組を観る機会がないため、どんな歌や歌手が流行っているのか知らないこともある。
 天下の『紅白』に出場するということは、今まさに人気ということなのだろう。
 これは観なければなるまい。
 で、観た。
 愕然とした。
 知らない歌手やグループ、楽曲が相次いで登場。
「なんじゃ、こりゃ!」
 時代に取り残された自分を、まざまざと見せつけられた思いがしたのである。
 ひょいと目を転じれば、日本酒をグビとやった愚妻は、コタツで高いびき。
 なるほど、歳を拾うと『紅白』が終わるまで起きてられないというのは本当のようである。
 私はチャンネルを切り換え、将棋の番組を観た。
 ちょいとばかり、辛気臭い大晦日であった。
 今日、元旦は、孫たちがやって来た。
 昨夜は頑張って『紅白』を最後まで観たのだと、小二の孫娘が自慢する。
 舌を噛みそうな歌手やグループの名前を、こともなげに口にする。
 元旦早々にして、世代交代の足音が、私の耳の奥で響くのだ。

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