昨日はご葬儀のお勤めをし、夜、久しぶりに日帰り温泉に出かけた。
カゼ気味のせいか、サウナに長居をするとフラフラするので早々に帰宅。
裸になって、乾いたタオルで身体を撫でていると、
「ちょっと、風呂から帰って何してるのよ」
愚妻が眉根を寄せる。
「見てわからんのか。今日から乾布摩擦をすることにした」
さっき露天風呂で思いついたことだ。
乾布摩擦は簡単で、健康にいいとネットの記事に出ていたことを思い出したのだ。
ところが愚妻は、
「何でも思いつきで始めるのね」
イヤ味を言う。
「バカ者!」
厳しく叱責し、
「《発心即菩提》。初めて発心するときは、すなわち正覚を成ず。親鸞の言葉で言えば、《能発一念喜愛心 不断煩悩得涅槃》。よく一念喜愛の心を発すれば、煩悩を断ぜずして涅槃を得るなり。すなわち、乾布摩擦も・・・・」
「他所で言ってよ」
聞く耳を持たず。
いつものことだが、つねに自分の見方と価値観が正しいと思っているのだ。
プーチン大統領と同じではないか。
いい機会だ。
愚妻が、ウクライナ侵攻のニュースを見ているので、私はさとした。
「いいか、西欧も日本も国連もロシアを批難するが、プーチンにはプーチンの言い分があるのだ」
そして、
「人間はみな同じ。自分がつねに正しいと思い、相手を批難する」
愚妻に反省をうながしたのだが、
「あなたみたいね」
ケロリとして言う。
「よし、反省しないなら、厳しい経済制裁を課すぞ!」
バイデン大統領のように威勢のいいことを言いたいところだが、私は趣味的に生きているだけで、およそ経済力とは無縁。
締め上げられるのは私のほうだとハタと気がつき、沈黙した昨夜であった。