歳時記

万年筆の修理

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一昨日、都内に出る用事があり、ついでに大型文具店に寄った。
モンブランの万年筆に不具合があり、インクの吸入ができないため、修理してもらおうと思ったのだ。

若い女性従業員が丁寧に応対してくれ、ペン先をインク瓶に入れて不具合を確かめてから、怪訝そうな顔をして言う。
「あのう、お客様」
「何でしょう」
「不具合はありませんが」

何と、ちゃんとインクを吸入しているのだ。

「そんなはずはない」
私はうなったが、実際、インクを吸い上げている。

彼女が気の毒そうな顔で言う。
「吸入するとき、ちゃんとインクに浸かっていなかったんじゃないですか?」

「そんなはずはない」
と言いかけだが、実際、インクを吸い上げている以上、ムダな抵抗というものだ。

仕方がない。
それはよしとして、
「では、ペン先を太字にして欲しい」
調整を頼むと、
「申し訳ございませんが、当店ではやっておりませんので、太くなさりたいのであればペン先交換になりますが」

頼もうと思ったが、ふと気になって値段を問うと、書類をめくってから、
「7万ン千円でございます」
「7万! 新しいやつを買えるではないか」
「そうでございますね」
ニッコリして言った。

ペン先に不具合はない。
太くしたいだけなのだ。
私は礼を言って店を出た。

私が知る限り、万年筆の修理やペン先調整をやってくれるのは都内に2店ある。
どちらの店にも行ったことがある。
予約制なので、予定が立ちにくい私にはこれがネックなのだが、仕方あるまい。
カレンダーをニラみつつ、行ってみることにするか。

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