歳時記

一昨夜のスーパームーン

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一昨夜はスーパームーン皆既月食である。
次回は12年後だそうだから、今回、見逃せば、つぎは見られるかどうかわからない。
ぜひとも見なければ。

で、一昨夕。
所用があって愚妻と房総・御宿に出かけたが、月食までに帰宅できる。
だが、曇っている。
雲に隠れたままだと、月の所在がわからなくなってしまう。
帰途、愚妻に月の位置を見つけるよう命じた。

助手席の愚妻は左上空を見上げながら、
「いつもこっち方向に出るんだけど」
ブツブツ言っている。

「バカ者。道は曲がりくねっておるから、そっち方向とは限るまい」
運転しながら注意するが、結局、曇り空で月は見えなかった。

で、9時前だったか。
月食から次第にもとの明るい月にもどっていくとニュースで言っていた。
ピンとくるものがあり、そのことを愚妻に伝えて外へ見に行かせ、私は風呂に入ったところが、
「ちょっと、見えるわよ!」
叫んで駆け込んできた。

すぐさま、いま浸かったばかりの湯船を出る。
「あわてなくても、風呂からあがってからでいいじゃないの」
「バカ者。雲に隠れたらどうする。何事もチャンスは一瞬なのだ」

私も急いで外に出て、夜空を仰ぎ、次第に明るく丸くなる月を眺めながら、ふと疑念がよぎった。
「おまえは、あれほど月を探したのに、なぜ見つからなかったのだ?」

愚妻は悪びれもせずに言う。
「だって、こっちの方向は見ていないもの」

私は言葉を失った。
たまたま今、雲間からのぞいたたけで、曇り空のためスーパームーンは見られなかっだろうとは思うが、
(ひょっとして、垣間見えたかも)
という思いはいつまでも尾を引くのだ。

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