歳時記

縁なき衆生

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言葉が前後すると真逆の意味になる。
愚妻が私に皮肉を言うときは、
「いい性格よね」
と「いい+性格」になる。

「何でもかんでも私に押しつけて、いい性格よね」
こういう使い方だ。

「違う、性格がいいと言いなさい」
私が「性格+いい」に訂正するが、頑として聞き入れない。

「いい人」と「人がいい」もしかり。

同様に、
「マヌケだが、いいヤツ」と「いいヤツだが、マヌケ」では、評価はガラリと変わる。

言葉とは何とも面白いものである。

今朝の日帰り温泉は、疲れているせいか、サウナも露天も長湯ができず、早々にあがった。

そのことを愚妻に伝えると、
「そうよ。調子が良くないときはさっさとあがったほうがいいのよ」
ワケ知り顔で言う。

私は「早々にあがった」と言っているのだ。
「調子が良くないときはさっさとあがったほうがいいのよ」
という返答は、返答になっていない。

「大丈夫なの?」
気づかってコミュニケーションは成立する。

言葉を考えもなく使うから意味のないことを口にするのだ。

「そういうことではいかん。いいか、言葉というのはだな、たとえば〝いい性格〟と〝性格がいい〟とでは・・・・」
たしなめようとしたが、
「うるさいわね、ごちゃごちゃ」

聞く耳を持たず。
『縁なき衆生は度し難し』
とはよく言ったものだと、ひとり納得した日帰り温泉である。

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