愚妻はかねて、
「私、コロナの抗体を持っているような気がするのよね」
と言っていた。
だからコロナには罹らないというわけだ。
抗体を持っているという根拠は、もちろんない。
私が冗談で、
「おまえ、抗体を持っているんじゃないか」
と言ったら、
「私もそう思っているのよ」
真顔で言って以来、抗体を持っているということになったのである。
愚妻が抗体を持っているなら、私も感染して持っていることになる。
となれば、我が家はコロナ第二波は大丈夫だ。
「よかった、よかった」
二人して安堵していたら、東京都の調査で、抗体の保有率は0.1パーントというニュースである。
愚妻の根拠のない自信はたちまち崩れ、
「私、抗体を持っていないかも」
と言いだした。
となれば、私もおそらく持っていない。
コロナ第二波はヤバイではないか。
「やっぱりマスクを買いだめしておかなくちゃ」
愚妻の態度はコロリと変わった。
コロナではない。
コロリなのだ。