歳時記

「お経」と「吸気」と「小欲」と

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 お経を称えていると、途中で息があがることがある。
 これではマズい。
 で、どうすれば瞬時に大量の空気を吸うことができるか試してみた結果、逆複式呼吸が一番適しているのではないか、という結論に達した。単に息を吸うだけなら複式呼吸がいいのだが、発声ということになれば逆複式のほうが具合がいいのだ。
 ところが、うまくいかないのである。
 大量に息を吸えるのだが、やっぱり息があがる。
 いや、逆複式呼吸にしたほうが、より早く息があがるのだ。
(吸い方が足りないのか?)
 そう思い、吸気音を鳴らし、大口を開けて大量に吸い込むのだが、ますます息苦しくなるのである。
 で、ハタと気がついた。
(吸い過ぎではないのか?)
 吸うことばかりに気を取られて、吐くことがおろそかになっているのだ。
 だから、苦しくなる。
 空手の演舞で、緊張すると息を吐くことを忘れ、結果、息があがる。それと同じではないか、と思ったのである。
 それで今度は、ほどほどに吸い、声を大にして称えると、実にスムーズにいくのである。
 つまり、「吸おう、吸おう」と〝欲〟をかくあまり、逆に苦しくなっていたという次第。
「人生も、それと同じだ」
 と書けば、クサイ話になってしまうが、でも本当だね。
 欲をかきすぎて苦しむ人間はいても、小欲であるために苦しむ人間はいないもの。

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