歳時記

カレンダーを見つめる

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朝から雨である。
私は知らなかった。
今日は一日、道場の仕事部屋に籠もるつもりでいたので、出鼻をくじかれてしまった。

「そうならそうと、なぜ早く言わぬ」
愚妻を叱責すると、
「雨だと言ったでしょ」
反論する。

「いつ言ったのだ」
「昨日だったか、一昨日だったか、その前だったか」

私は黙し、自室で仕事に取りかかった。

仕事の必要があって、いまテープに録ってある布教使の法話を文字に起こしている。
わかりにくい箇所がいくつも出てくる。
対面で話している内容を、対面しない私が聞いているからだろう。

対面して話す(講演や説法)、対面しないで声だけで伝える(ラジオ)、対面はしないが仕草を交えて話す(テレビ)、文字だけで語りかける(文章)、さらにその文字も手書きの手紙とメールとでは、伝わり方は違ってくる。

そんなことを考えていると、テープ起こしがちっとも進まない。
遅れ遅れになっている原稿も、ほかにある。

じっと我が手のひらを見つめたのが石川啄木なら、私は目の前のカレンダーを見つめるのだ。

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