「母」は「はは」と読む。
人生の甲羅を経て心身ともに朽ち、濁ってくると、まさに濁点がついて、
「ばば」
と濁る。
すなわち「婆(ババ)」である。
このことがふいに閃き、愚妻に教えてやった。
「おまえは〝はは〟が濁った存在なのだ。だから、これらは〝お濁りさん〟と呼ぶことにしよう」
「ちょっと、父も同じでしょ。〝ちち〟が濁れば〝ぢぢ〟じゃないの」
口の減らない女だ。
「亭主にタテついて幸せになった女は、古今東西いないのだぞ」
「勝手なこと言ってなさいよ。また結石が痛くなるから」
「バカ者が、もう結石は直ったのだ」
「出たの?」
ここでハッと我に返る。
まだ結石は出ていない。
そういえば、医者がCT画像を見ながら、
「腎臓を出たすぐのところに引っかかっているから、出るまで、長ければ1カ月かかるでしょう」
と言ったことを思い出した。
だから座薬の鎮痛薬も10日分が処方されている。
(ヤバいな)
と、思った矢先、マジに右脇腹に痛みが起こってきた。
二階の部屋でジャンプするわけにはいかないので、階下の居間に降りて、ピョンピョン飛び始めた。
痛みで動けなくなる前に、飛び跳ねて結石を動かすのだ。
私がいつもやる方法である。
「ちょっと、うるさいわね」
テレビを観ている愚妻が文句を言う。
「結石だ」
「ほらごらんなさい! 私の悪口を言うと痛くなるわよって言ったばかりでしょ」
勝ち誇ったように言う。
癪な女だ。
「座薬を出せ!」
受け取ってパンツを下ろすと、
「ちょっと、トイレに行って入れなさいよ!」
「バカ者! トイレは出すところで入れるところではない!」
「あら、面白いはね。けっこう元気じゃないの」
笑ってやがる。
私は結石で愚妻に復讐されているのだ。
追伸
痛みをこらえながらブログを書くとどうことになるか、実験しながら書いてみた。
結構、書けるものだ。
顔は痛みに歪んでいるが。
結石の激痛、再び
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