人生を長く生きていると、「流れ」というものが感覚でわかってくる。
経験則というやつだ。
たとえば仕事が忙しいとき。
予定表とニラめっこしてスケジュールを細かく決め、
「これでよし」
となるが、こういうときに限って突発的な用事が入ることを、経験則でわかっている。
だから、綱渡りのスケジュールを組みつつ、
「何か飛び込んでくるぞ」
と警戒し、心の準備をするのだ。
昨日も友人から電話で、
「木曜日に葬場勤行の練習があるんだけど、案内がいってる?」
突発事態である。
木曜日は稽古がないため、自由に使える一日。
仕事の積み残しや、調べごとなどに時間を充てる予定にしていたが、
「何かある」
と警戒していたので、平静に受け止めることができた。
流れがわかるので、忙しいときほど私は頻繁に予定をチェックし、「飛び込み案件」に備える。
そんなこともあって、私は随時、愚妻に予定を口頭で告げておくのだが、外出の予定を伝えると、
「じゃ、食事はいらないのよね」
愚妻の声が明るくなる。
ところが、
「いや、夕方には帰ってくる」
と言おうものなら、
「出歩いていないで、仕事したらどうなの」
とたんに機嫌が悪くなる。
予定を入れるのも楽ではないのだ。
昨夜は近所のイタメシ屋へ出かけ、愚妻と年間予定の打ち合わせ。
12月まで手帳をめくったので、何やら今年が終わった気分になった。
明日の命はわからないが、とりあえず手帳の上では、この一年を無事に生きたことになるのだ。
無事の一年
投稿日: