歳時記

お互い干渉せず

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 一昨日、久し振りに近所の日帰り温泉へ仕事をかかえて出かけた。
 この日も愚妻は早朝から同じ日帰り温泉に行っており、私は愚妻の帰宅を待ち、入れ替わるように出かけるのだ。
 一緒に行けばよさそうなものだが、愚妻も私も「一緒に行こう」とは口が裂けても言わない。
 何事においても「夫婦別々」が我が家のキィーワードになっているからだ。
 日帰り温泉へ出かけたこの日、私は断食をしたが、愚妻は知人から頂戴した越後の「にごり酒」をグビリ。
「断食はせんのか?」
 問うと、
「あなただけでどうぞ」
 生ハムをツマミにグビリなのである。
 しかし、お互いが干渉せずというのは、精神衛生上、すこぶる快適だ。
 心を煩わせるものが一つ減るのだから当然だろう。
「お前が死ねば、もっと楽になるな」
 私が憎まれ口を叩くと、
「ガスの使い方も知らないあなたが、どうやって生きていくのよ」
 確かに、そうだ。
「お互い干渉せず」は、生きていてこその値打ちであると腑に落ちた次第。

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