歳時記

体質が変わる

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 昨夜は、拓殖大学の後輩二人にお誘いを受け、歓談した。
 庭園の見事さで知られる店だが、台風で散策できずとも、風雨に騒ぐ木々もなかなかの風情であった。
「前(さき)に生まれん者(もの)は後(のち)を導き、後に生まれん者(ひと)は前を訪(とぶら)え」
 とは、親鸞が主著『教行信証』に引いた道綽(どうしゃく)禅師の言葉だが、私など先に入学しただけの「先輩」に過ぎず、「後を導く」どころか、邪魔な石ころのようなものである。
「そんなことではいかん」
 と痛感させられ、励みになったことは、私にとって有難い一夕であった。
 せっかくの宴席であり、冷酒を勧められるまま久方ぶりに少しばかり口に運んだのだが、帰宅して身体の一部に蕁麻疹が出ていた。
 酒を飲まなくなって、体質が変わったのだろう。
「若いころ飲み過ぎたツケが、いま出てきているのよ」
 と、愚妻が勝ち誇ったように言う。
 言われてみれば、そうかもしれない。
 結局、自分の人生は、自分でツケを払っていくしかないのだろう。
 だが一方で、体質であれ何であれ、加齢につれて「変わる」というのは、何とも嬉しい気がする。
 十年一日より、変わりつつ、脱皮しつつある人生でありたいと思うのだ。

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