歳時記

注射と、マッサージと、鍼

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 昨夜は、横浜支部から二人、稽古にやってきた。
 あれこれ教えてあげたいが、何しろ左の肩胛骨のあたりがズキズキと痛むのである。
 頸椎からきているらしいというのは、レントゲンでわかっている。
 飲み薬では治らないので、先日、当該部分へ注射してもらった。
「これはね、効く人にはよく効く注射ですよ」
 と、医者に言われる。
「効く人には」
 という言葉にいささか引っかかった。
「効かない人には、効かない」
 ということに、論理的にはなるではないか。
 イワシの頭もなんとやらで、信じれば痛みは治まったかもしれないが、ヒネくれた性格が禍して、「効かない人」になってしまった。
 で、いつものマッサージ屋に行って事情を話すと、
「マッサージでは筋肉のこれ以上の深い部分は無理ですねぇ。鍼がいいかもしれませんよ」
 で、マッサージ屋を出た足で、そのまま鍼灸屋へ。
 帰宅して、愚妻にそのことを告げると、
「いっぺんにあれこれしたら、どれが効いたかわからなくなるじゃないの」
 私の身体を心配するより先に、そんな悪態をつくのだ。
 たしかに一理ある。
 一理あるが、それを認めるのは亭主としての沽券にかかわるし、愚妻を調子づかせてしまう。
 だから言った。
「バカ者。どれが効こうが、要は治ればいいのだ」
 仕事は山積。
 実際、治ってくれなければ困るのだ。

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