拙著『ヤクザは人を5秒で9割見抜く』(悟空出版)が発売一週間で重版。
読者諸氏に感謝です。
何しろこの出版不況で、本は売れてナンボ。
いくら企画がよくても、あるいは良書であっても、文章が素晴らしくても、売れなければ刊行の機会はない。
ま、そういう意味では厳しい世界ではあります。
悟空出版の社長は大手出版社の出身。
私とは週刊誌時代からの「戦友」で、同社は昨年立ち上げたルーキー出版社。
私で役に立てるならと気合いを入れて執筆した本なので、発売早々の重版で、ひと安心である。
本を出版するというのは、野球のバッターボックスに立つような気分で、三振や凡打では、たちまちスタメン落ち。
シングルヒットをコツコツと打ちつつ、二塁打、三塁打、たまにホームランが要求される。
楽じゃないが、それはそれで面白い世界である。
今週は天気もよく、ウォーキング日より。
稲を刈り取った広大な田圃(たんぼ)一面にコスモスが咲いている。
私はコスモスが大好きなので、これはとても気分がいい。
『年々歳々花相似たり 歳々年々人同じからず』
という唐詩の一節が脳裏をよぎる。
「自然界の花は、時期がくれば毎年同じように美しく開くが、それにひきかえ、人の境遇は年々変わっていく」
と人の世の移り変わりを詠んだものだが、自然のなかを毎朝歩いていると、「無常」ということが、むしろ清々しく感じられるのである。
本を書いてヒットを飛ばすという現実生活の格闘と、早朝散歩に無常を感じる詠嘆的な心。
死ぬまで働いてやるというファイトと、コスモスに心を和ませるひと時。
きっと、人間にはどちらも必要なのだろう。
「重版」と「コスモス」
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