歳時記

ついに雪道を走る

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 いま、草津温泉。
 ついにスタッドレスタイヤで、雪道走行である。
 小説『雪国』の一節ではないが、どこぞのトンネルを抜けると雪が降っていた。
 うれしくなって、アクセルを踏み込むと、
「ちょっと、何するの!」
 愚妻が金切り声をあげた。
「タイヤがすべるかどうか、試そうとしたのだ」
「やめなさいよ!」
 怒っていた。
 露天風呂に身体を沈め、降り続ける雪を眺める。
 悪くない気分だが、仕事もしなければならない。
 私はノートパソコンを持参。
 愚妻は寝酒を持参。
 人生は不公平にできている。
 いや、不公平であることを「人生」と呼ぶのだ。

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