歳時記

露天風呂で「流れ星」

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 昨夜、遅くなって温泉健康ランドへ。
 露天風呂につかっていて、流れ星を見た。
 ほんの数秒で、
(あっ、流れ星!)
 と、目を凝(こ)らし、数秒で漆黒の彼方へ消えてしまった。
 数年前だったか、獅子座流星群というやつを見た。
 あれはあれでよかったが、
「これから流れ星が見えますよ」
 という予告があっての見物。
 それに引き換え、露天風呂で見た流れ星は突然であり、偶然であり、まったく予期せぬ出来事。
(やっぱり流れ星はこうでなくちゃ)
 と感動しつつも凡夫の悲しさ。
 もっとほかに流れ星が見えるのではないかと、欲にかられて夜空をキョロキョロ。
 まったくもって、救いがたい人間だと、我ながらつくづく思ったのである。
 風呂を出て、流れ星を見たことを愚妻に告げると、
「ワーッ、わたしも見たかった!」
 と、くやしがったわけではない。
「あっ、そう」
 実にそっけない。
「それだけか?」
「ほかに何て言えばいいの?」
 改めて問われると返事に窮する。
 流れ星がどうした。
 そう思うと、感動はたちまち色あせる。
 リアリストの愚妻によって、私は感動の少ない人間になっていくのである。

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