歳時記

冥土の旅の一里塚

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 昨夜の稽古で、小学生の女子たちと話していたときのことだ。
「館長、何歳?」
 と訊かれたので、
「61歳」
 と答えると、
「すごい!」
 みんなに感嘆された。
「若い!」
 とホメられるものと喜んだが、違った。
 女の子たちは、こう言ったのだ。
「お爺さんなのに、よく身体が動くね」
 子供の観念からすれば、61歳は「日本昔ばなし」に出てくるお爺さんなのである。
 ものごとに動じない私も、これにはいささかショックで、
「ウーム」
 と唸っていると、女の子の一人がやさしく言ってくれた。
「館長、無理しないほうがいいんじゃない?」 
 私は「ありがとう」と礼を言いながら、
《門松は 冥途の旅の一里塚》
 という一休さんの言葉が唐突に浮かんできた。
 一里塚まで、あと二週間である。

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