歳時記

野村監督は、なぜ国民的英雄になれないのか

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 楽天・野村監督の去就に注目してきた。
 案の定、3年契約の名誉監督の就任要請について、
「断る理由はない」
 と受諾する意向を示した。
 やっぱりなァ。
「楽天の負け、ノムさんの勝ち!」
 ということか。
 老獪な野村監督のことだから、楽天とどう駆け引きをするか、興味をもって成り行きを見守ってきた。
 当初、名誉監督就任を打診されたとき、野村監督は、
「次の監督のことも考えてやらないといけない。亡霊、幽霊みたいな仕事。それが楽天のためになるのかね」
「ファンへのエクスキューズ(言い訳)。怖いんですよ。ファンを静めるために応急措置としての戦術としてとらえている」
 と、実体のない名誉職への就任要請に不快感を示す一方、スポーツ紙も阿吽(あうん)の呼吸で、
《最終的には現場にこだわる〝プライド〟もあって決別を決意。克則バッテリーコーチも退団の意向を固めている。》
 と煽(あお)る。
 ポイントは、野村監督自身は名誉監督自身を断ったわけではなく、「冗談じゃないよ」と不快感を示しただけということ。
 断ればこの話はなくなるが、不快感であれば「交渉は継続中」ということになる。
 そして、楽天の活躍で、
「ノムさんが可哀想。楽天は非情だ」
 というファンの声が起こってくるのを待っていたかのように、名誉監督就任要請について、
「しばらく考えさせてほしい」
 と態度を〝軟化〟。
 それを受けて楽天がどういう条件を出したか定かではないが、おそらく譲歩したのだろう。
「断る理由はない」
 と、受諾したというわけである。
 推測すれば、野村監督は、楽天批判をガンガンやってトラブルに仕立て、交渉のハードルを上げ、実利を手にしたということになるだろう。
 なぜなら、楽天の名誉監督養成が不快であるなら、さっさと断ればいいのに、そうはしないで、批判ガンガンであったからだ。
 もし、これが長島や王であれば、そうはしなかったろう。
 批判もせず、就任要請を丁重に断ったはずだ。
 野村監督の老獪な駆け引きは、「潔さ」を美徳とする日本人のメンタリティーには合わない。
 長島や王が国民的英雄になり、野村がそうはなれないのは、たぶんここに違いがあるのだろうと、一連の〝楽天報道〟を見ながら思った次第。

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