中国の兵法書に『兵法三十六計』というのがある。
兵法における三十六通りの戦術をまとめたものだ。
この書の名前は知らなくても、
「三十六計、逃げるに如かず」
という言葉なら、どなたもご存じだろう。
これは『兵法三十六計』のなかの三十六番目の戦術で、
「窮地に陥(おちい)ったときは、まずそこから脱して身の安全を守り、後日の再起を図るべし」
と教える。
私が、ハタと膝を打ったのは、《第十四計/屍(かばね)を借りて魂を還(かえ)す》という戦術である。
「役に立たない者を利用しろ」
という計略で、
「有能な者は少なく手に入りにくいもの。だから、無能な者であっても、使い方次第でいくらでも役に立つのだから、大いに使うべし。無能を無能たらしめるのは、使い方を知らないからだ」
と教えるのだ。
私はこれまで愚妻にあきれ、なぜ良妻にならないのかと首をひねってばかりいたが、それは間違いであった。
すなわち、
「愚妻を愚妻たらしめるのは、使い方を知らないからだ」
ということになるではないか。
デキがいいとか悪いとか、人を評してはならない。
それは結局、天にツバすることになるのだ。
兵法書『兵法三十六計』に学ぶ
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