歳時記

天麩羅と「声」

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 雅楽(ががく)を指導してくださっているH先生から、
「午後から講演や、歌を歌う必要がある場合、昼食に天麩羅(てんぷら)を食べてはいけません」
 という話をおうかがいした。
 声の出が悪くなるのだそうだ。
 そう言われてみると、空手の試合で審判をやっていた昔、昼弁当に天麩羅が入っていると、何となく午後の試合は声の調子が悪いような気がしたことを思い出した。
 なるほど、そういうことであったか。
 しかし、愚妻は天麩羅が大好きで、昼夜お構いなしで食べているが、声の出はよく、ペラペラと舌もよくまわる。
 これはどういうことだ。
 昨夜、湯船で考えていたら、
「一般的に」
 と、確かH先生はおっしゃったような気がした。
 そうか、そういうことか。
 愚妻を「非一般的人間」と解釈すれば、何ら不思議はないということなのだ。
 どうでもいいようなことだが、ノドに刺さった小骨のようなもので、気になってしまうものである。
 それにしてもH先生は博識で、学ぶことが多いのだ。

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