歳時記

集中力について考える

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 原稿を書くときに、「詰まる」ということはない。
 ノリがいいとか、悪いということもない。
 電車の中でも書けるし、稽古中、5分の小休止でも何行か書ける。
 瞬時にモードが切り替えられることから、私の頭はデジタル的だと思っていたが、どうもそれは違うのではないか、と最近考えるようになった。
 そうと意識しないだけで、パソコンのスリープモードのように、24時間、頭の隅で原稿を書いているのだ。
 原稿は複数のテーマが同時進行しているので、複数の原稿を頭の中で書いているが、満腹でもデザートがお腹に入るように、テーマが違えば、脳は満杯にはならないようだ。
 だから、パソコンに向かって、すぐに書き始められるのだろう。
 そういう意味で、集中力には自信があるのだが、欠点は長続きしないことだ。
 すぐに興味を失ってしまう。
 愚妻は、
「ホントに厭(あ)きっぽいんだから」
 と揶揄(やゆ)するし、自分でもそうだと思っていたが、厭きっぽい原因がわかってきた。
 私は一つことを始めると、24時間、頭の片隅でそのことを考え続けているため、いざそれを実践すると、
「もういいかな」
 という気になってしまうのである。
 とすれば、集中力と持続力は相反するということになる。
『人の一生は、重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず』
 とは徳川家康の遺訓で、
「人生は持続力が大事」
 と説く。
 なるほど、と感心しつつ、
「しかし還暦を過ぎれば、〝遠き道〟もゴールが近づいてきているしなァ」
 とも考える。
 結局、「我は我なり」と居直って生きていくしかあるまい。

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