「金に目がくらむ」
という言葉がある。
目がくらめばどうなるのか。
見えなくなる。
何が見えなくなるか。
「自分」である。
金に目がくらむと、自分が見えなくなってしまう。
いま何をしようとしているのか、その行為は人として正しいのか間違っているのか。
そんなことが見えなくなってしまい、結果、道を誤り、身を滅ぼす。
このことを、老子は、
『多くを蔵すれば、必ず厚く亡う』
と教えた。
「ゆえに」
と、私は愚妻に告げる。
「わしは幸いにも、自分がよく見えておる」
愚妻は一瞬、キョトンとしたが、
「ちょっと、ハッキリ言ったらどうなのよ」
「多くを蔵すれば、必ず厚く亡う」
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