歳時記

警察感の実務本

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 『BAN』という月刊誌がある。
 といっても、原稿依頼があるまで、この雑誌の存在を知らなかった。
 それも当然で、同誌は全国の警察官を読者とする直販雑誌。
 一般書店で目にすることはないのだ。
 見本に送っていただいた7月を見ると、
『悪に踏み込む少年たち/少年犯罪を考える』
 といった特集など、なかなか読みごたえがある。
 そんな〝お堅い雑誌〟から、職務質問における「会話の心理術」について原稿依頼とは、何かの間違いではないか。
「あのう、私でいいんですか?」
 思わず聞き返した次第。
 いい機会なので、警察官の職務に関する実務本を拾い読みしてみると、これがなかなか面白いのだ。
 たとえば、中に特殊染料が入った防犯用のカラーボールは、液体が満杯状態ではないので、重心が一定せず、通常のボールのようには投げられないそうだ。
 だから、平素から水道水を入れたボールで投擲(とうてき)訓練が必要だと解説してある。
 ただ投げつければいいと思っていたが、なるほど読んでみなければわからないものである。
 感心しつつ読み進めているうちに、ひと晩が明けてしまって、大あわてしている。
 6月〆切は何とか乗り切ったが、7月、8月と連続の〆切があり、カラーボールに感心している場合ではないのだ。

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