歳時記

「ウソ」について考える

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 昨夜、親しい編集者と都内で一杯やった。
 博識の編集者で、海外旅行から仕事、趣味まで話題はつきず、楽しい一夜になったが、そのなかで「ウソ」について、あれこれ話し合った。
 つまり「ウソは本当に悪いことか」ということである。
 社会生活を送る上で「ウソ」は人間関係の潤滑油とするなら、
「ウソこそ、本当の意味で、人間のやさしさかもしれない」
 という結論になった。
 このことは、ぜひ愚妻に教えておく必要があると思い、帰宅するなり、
「おい、聞け。ウソこそ本当の意味で、人間のやさしさなのだ」
 と告げると、
「ちょっと、何を企(たくら)んでるのよ」
 どうにも御しにくいのである。
 で、今朝。
 ウソについて、このブログで何か書いていないかと思い、古いブログをチェックしてみると、何と、ちょうど3ヶ月前の3月28日に、『野菜はウソをつかない』と題して書いてあるではないか。
「野菜は肥料をやれば育つ。正直なもので、野菜はウソつかない。ウソをつくのは人間だけ」
 という、畑の大指南役であるSさんの言葉を紹介してある。
 このときは、
「なるほどなァ」
 と感心したが、昨夜の話で、ちょっと考え方が変わった。
 ウソを否定的にとらえるのではなく、
「ウソをついてこそ人間である」
 と、肯定的にとらえてみたらどうか。
 ウソの奥は深いのだ。

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