4人の死者を出した焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」をめぐる集団食中毒事件で、勘坂社長が土下座した姿が、私の脳裏にずっと引っかかっている。
「パフォーマンス」だと言うのではない。
そういうことではなく、何となく違和感をおぼえるのだ。
それが何だかわからないまま、もやもや気持ちで数日が過ぎていたが、愚妻が観ていたテレビ時代劇で土下座シーンがあり、それをぼんやり眺めていて、
(そうか!)
と、もやもやの原因に思い当たったのである。
すなわち、直立不動で頭を下げるのは「謝(あやま)る」で、土下座は、
「赦(ゆる)しを乞(こ)う」
ということなのだ。
町人が代官に土下座するときのセリフは、
「お赦しくださいませ、お代官様」
であり、
「申しわけありませんでした」
という謝罪ではない。
このことから、勘坂社長の土下座は、
「お赦しください」
と乞うているのだ。
赦しを乞うのは、謝罪し、責任を取り、その後のことではないか。
しかも、被害者にではなく、メディアに向かって赦しを乞うているのだ。
妙なことではないか。
私の違和感は、責任を取る前に「赦しを乞う」という社長の土下座に、「わが身可愛さ」を感じたからであることに気づいたのである。
「ユッケ社長」の土下座
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