歳時記

牛乳と牛肉と「牛さん」

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 孫が遊びに来ると、いつも牛乳を飲む。
 愚妻が与えるのだが、それはもちろんよい。
 私が気に入らないのは、
「ハイ、牛さんのお乳よ」
 と言って渡す愚妻のセリフである。
 下の女児は、
「ワー、牛さんのお乳!」
 と言って無邪に喜ぶ。
 それを見ていて、私が愚妻に噛みつくのだ。
「牛乳のときは〝牛さん〟と言っておきながら、牛肉を食べさせるときは、なぜ〝牛さんの背中を切り取ったお肉ですよ〟と言わんのだ」
「そんなこと言ったら、牛がかわいそうになって、子供たちが食べられないじゃない」
「そこなのだ。仏教で言う殺生とは・・・」
「よそへ行って言ってよ」
「バカ者!」
「バカはないでしょ!」
 私としては「食べ物に感謝しよう」ということを言いたいだけなのだが、話はそこへ行く前に頓挫してしまうのである。
「人を見て法を説け」
 とおっしゃった釈尊の言葉を噛みしめる今日このごろなのである。

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