強烈な地震であった。
道場の前を歩く人たちがしゃがみ込んでいた。
道路をへだてて向かい側にあるドラッグストアから、人が駐車場へ駆けだしてくる。
陳列品が落ちてくるのだろう。
私の仕事部屋は、本が音を立てて落ちてくる。
危ないので道場に出ていたのだが、ガタガタと揺れる最中、何を思っていたか。
身の危険よりも何よりも、
(後片付けが大変だな)
と、そんなことを思っていた。
壊滅的な地震はこないという楽観が、心のどこかにあるのだろう。
そういえば、いまふと思い出したのだが、今朝、送られてきた通販カタログに携帯トイレが載っていた。
「おい、女性用もあるから、ドライブ用に買っておけ」
と愚妻に言うと、
「小さいテントがあれば、地震のときでもいいんじゃない?」
そんなことを言ったのだ。
「バカ者。地震のことなんかどうだっていい」
と、そのときは叱りつけたが、やはり備えは必要だろう。
「万に一つ」だからこその備えなのだ。
いまも余震が続いている。
地震の最中に思う
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