歳時記

子供と「夢」

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 文部科学省が、ニートやフリーターの対策に乗り出したそうだ。
 小中学校や高校で、仕事について学ぶ「キャリア教育」を推進するという。
 昨日のニュースを引用すれば、
《平成24年度からすべての公立小中学、高校で月2時間以上のキャリア教育の授業を行うほか、中高では年間5日以上の職場体験やインターンシップ(就業体験)を実施したい考えだ。文科省は「子供のうちから働くことへの意識を養いたい」としている。》
 要するに、教育現場におい労働意欲を喚起し、ニートやフリーター対策にしようというわけである。
 これで、文科省がいうように働くことへの意識が養えれば結構なことだ。
 だが「労働意欲の低下」とは、子供や青少年が「人生に夢をいだかなくなった」ということではないだろうか。
 夢をいだけば、その実現に向けて努力する。
 勉強もすれば、働きもする。
 山頂に立ちたいと思えば、一歩一歩、山道を登っていく。
 しかし、山頂に立ちたいと思わなけば、山道をフーフー言いながら登ってく人間など、いるわけがない。
 還暦になった私であれば、
「山頂に立たずとも、山道そのものを楽しむ」
 と嘯(うそぶ)きもできるだろうが、10代の若者にそれは無理だろう。
 私が子供のころは、
「大きくなったら、何になるの?」
 と、よく大人からきかれたものだ。
「わからない」
 と答えるのは恥ずかしいことだと、子供心に思った。
 そういう社会だったのだ。
「社会的価値観の背景には、高度経済成長があり・・・」
 という論議は、ここでは措(お)く。
 ただ、実感として、子供に対するこの問いかけを聞かなくなった。
「大きくなったら、何になるの?」
 という、親のたった一言が、我が子の夢を育てるのではないだろうか。
 すくなくとも「将来」に向けて目を見開くことは確かだ。
 夢が持てない社会といわれる。
 そうだろうか。
 社会のせいにして、大人が夢をもたなくなったように、私の目には見えてしまう。
 子供を巻き添えにしてはなるまい。

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