歳時記

今日は「仕事始め」

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 今日、世間は「仕事始め」。
 朝からテレビニュースが、そのことを繰り返し放送している。
 冗談ではない。
 私には「仕事納め」も「仕事始め」もない。
 道場が休みの年末年始はたっぷりと時間があるため、せっせと仕事をしているのだ。
 したがって正月4日ともなると、1カ月以上がすぎた気分なのである。
「私のような働き者が世間にいるだろうか」
 愚妻に言うと、
「年中無休、年中正月でしょ」
 鏡を睨みつけたまま、頭髪をカールしながら言った。
 なるほど、言われてみればそのとおりで、自由業の私は己を厳しく律しなければ「年中正月」になってしまう。
 そこで今年は、私が座右の銘とする「生き方」を徹底することにした。
 私の座右の銘は、
『感謝、慈悲、自然(じねん)、知足(ちそく)、正見(しょうけん)』
 私のオリジナルである。
『感謝』は生かされていることへの感謝。
 感謝の念を抱き、謙虚であれということから「威張るな」「怒るな」と自分に言い聞かせる。
『慈悲』とは「他人の痛みを我が痛みとして感じる心」だ。
 慈悲の心があれば人を責めたり、問い詰めたり、評したりはしないものだ。
 もちろん、その裏返しとして自慢もしてはならない。
『自然(じねん)』は、嫌なことも苦しいことも、悪いこともすべてを「縁」として甘受すること。
 だから、こだわりを捨てる。
 意に染まないからと言って、人を恨んではならない。『自然』という生き方をすれば、不平不満から解放される。
『知足』は周知のように「足るを知る」の意だ。
 私の場合は「我慢せよ」というのとは違う。
 いま〝在(あ)るもの〟のなかに喜びや幸福を見いだすという〝積極的な知足〟である。
 そして最後の『正見(しょうけん)』は、仏教の根本教説である「八正道(はっしょうどう)」から取ったもので、「正しい智慧」という意味だ。
「どうだ」
 カールが終わった愚妻に話して聞かせ、
「今年はこれでいくぞ」
 高らかに宣言したところが、
「好きにして」
 素っ気ないリアクションに、
「なんだ、その言いぐさは!」
 思わず怒鳴りつけてしまった。
 愚妻は「そら、みろ」といわんばかりの顔をして、
「できもしないことは、言わないほうがいいんじゃないの」
 鼻で笑ったから、私は厳しくたしなめた。
「バカ者。できないからこそ、座右の銘をもって己を律しようとしているのではないか」
 かくして今年も本格的に始動したのである。 

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