「ちょっと、還暦さん」
愚妻が昨日から、私のことをそう呼ぶ。
60歳まで生きてこれたことに感謝するのではなく、面白がっているのだ。
バチ当たりというのは、まったく度し難いものである。
しかも、60歳になったその日に市役所の支所に出かけ、マッサージ等の割引使用券を発給してもらってきて、
「次からこれを使って」
と、私に手渡した。
私は週一のペースでマッサージにかかっているので、割引使用権は結構なことだが、何も60歳になった当日に渡さなくてもよいではないか。
これは、あきらかにイヤ味である。
「バカ者、そんなものが使えるか」
と、威勢よくタンカの一つも切ればいいのだろうが、
「おっ、いいねェ」
と、思わず破顔していた。
やっぱり私は還暦なのだ。
肩ヒジ張らないで生きいくことにしよう。
マッサージの割引券
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