道場で、稽古前の準備体操を何気なく見ていて、
「ン?」
と思った。
小学校高学年から中学生まで、女の子たちが頭を床につけないようにしてストレッチ運動をしているのだ。
「おい、どうかしたか?」
何事かと心配して問うと、
「髪の毛が汚れるの、イヤなんだもん」
女の子のひとりがアッケラカンと言った。
想定外の返事に、私はア然として、
「みんな、そうなのか?」
「ウン」
私は唸(うな)った。
唸りつつ、何に対して唸っているのか、自分でもわからなかった。
3月の昇段審査に向けて、それぞれ支部から受審する大人たちが出稽古に来ている。
実年女性たちも何人かいるが、彼女たちは汗びっしょりになって稽古している。
間違っても、
「髪の毛が汚れるの、イヤなんだもん」
などと言うことはあり得ない。
しかるに、ウチの女の子たちはどうだ。
「手を濡らさずして、水槽の金魚を手でつかむことはできないんだゾ」
と、そんな言葉がノドから出かかったが、それを言えば、
「網ですくえばいいじゃん」
そんな答えが返ってくるに決まっている。
私は唸りつつ、
(さて、どうしたものか)
今後の指導方法について、頭を悩ますのである。
ストレッチ体操を見てア然
投稿日: