ホメられて、悪い気がする人間はいない。
お世辞であっても、だ。
すなわち「ホメ言葉」は、人間関係の円滑油なのである。
ならば、これを使わない手はあるまい。
ただし、「ホメる技術」という言葉があるように、ただホメればいいというものではない。
見え透いたお世辞は、
(ハハーン、何かウラがあるな)
と相手に思わせて、逆効果となる。
で、どうすれば「ホメる技術」を磨くことができるか。
いろいろ考えた末、ウラ読みに関しては鋭い感性を持つ愚妻相手に訓練することにした。
「おっ、この煮物、うまいな」
と、手料理ならホメるのは簡単だが、問題は、たとえば刺身など、できあいの食べ物をどうホメるか。
「おっ、この刺身、うまいな」
「Aスーパーで買ったのよ」
「ほう、あの店はなかなかいいものを置いてあるんだな」
「そうなのよ。Bスーパーは安いけど、いいものがなくて」
愚妻をホメるつもりが、スーパーをホメることになる。
これではだめだ。
で、次回、私はこう言ってみた。
「おっ、この刺身、うまいな」
「Aスーパーで買ったのよ」
「しかし、こんなうまい刺身をよく選んだな」
「そりゃ、私もいろいろ研究しているから」
「やっぱりそうか。刺身を選ぶのは難しいからな。たいしたもんだ」
刺身をホメるのではなく、それを選んだ愚妻をホメれば、すっかり上機嫌になったという次第。
このテは応用がきくので、いろいろ試してみるといいだろう。
ホメる技術
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