歳時記

「前祝い」は敗北の始まり

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 自民党の両院議員総会開催要求の署名が、一夜にして切り崩された。
「名前を使われただけ」
 とか、
「首相と対話したいだけで、退陣を求めたわけではない」
 とか、苦しい言い訳で署名を撤回した。
 自民党の〝内紛〟のことなどブログに書くつもりはなかったが、興味を引いたのは、署名が集まった深夜、反麻生の親分である中川元幹事長が祝杯をあげたというニュースである。
 甘いね。
 まさか、政治家がここまで甘いとは思いもしなかった。
 勝負は「両院議員総会が開かれるかどうか」であって、「署名が集まるかどうか」ではないのだ。
 すなわち「勝ったも同然」と「勝った」は、天地ほどの違いがあることに、中川秀直が気がつかないとしたら、やはり天下を取る器ではないということになるだろう。
 これがもし小沢一郎であったなら、前祝いなど絶対にしなかったはずだ。
 前祝いどころか、浮かれムードを一喝し、気を引き締めたに違いない。
 中川秀直の〝甘さ〟と、小沢一郎の〝豪腕〟の差は、ここにあるのだ。
 私のささやかな経験からしても、「前祝い」をやると、たいてい失敗する。
「このテーマ、絶対売れますよ」
「よし、前祝いだ」
「乾杯!」
「乾杯」は「完敗」につながるのである。

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