畑に行く予定日がことごと雨になり、今朝、しばらくぶりに出かけた。
一面、草ぼうぼう。
思わず溜め息が出るが、草は引かねばなるまい。
私はしゃがみこみ、カマで根を断ち切るようにして草を引いていく。
2時間がたち、さらに30分が過ぎるころになって、指南役の親父が、
「さあて」
と、つぶやく。
いつもなら、ここで私が、
「そろそろやめるかな」
と呼応し、
「ほうじゃ、またにしよう」
と指南役が断を下して作業は終わりとなる。
このあたり、阿吽(あうん)の呼吸と言うのか、相撲の立ち会いに似ているのだ。
だが今日は、私は本気になって草と格闘している。
指南役のつぶやきを無視。
すると、しばらくして指南役が、
「さあて……」
無視。
何度かこれを繰り返し、私も疲れてきたので、
「そろそろやめるかな」
と、呼吸を合わし、
「ほうじゃ、またにしよう!」
と、いつものパターンになった。
で、これもいつものように私は愚妻に向かって、
「そっちはどうだ?」
と声をかける。
「そろそろ帰る?」
と呼応して一件落着のばすが、今日に限って無視。
畑の一角に花を植えたものだから、そっちに余念がないのだ。
指南役も、私も、沈黙する。
15分ほどたって、
「そっちはどうだ?」
再び、明るく声をかけるも、 無視されて私たちは沈黙する。
立ち会いの呼吸が合わず、予定時間をはるかにオーバー。夕方から稽古があり、私は仮眠をとる時間がなくなってしまったのである。
畑作業というのは、実に難しいものであると痛感した一日であった。
畑作業と「相撲の立ち会い」
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