歳時記

痴漢対策に「男性専用車両」とは何だ?

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 一昨日から激しいクシャミ。
 今年は花粉症が出ないと威張っていたら、このザマだ。
 花粉症の時期もそろそろ終わりだというのに何たること――と愕然としていたら、昨日から頭がガンガン痛み始め、どうやら風邪を引いたようである。
 痛む頭を抱えながら、
(花粉症でなくてよかった)
 と妙な安心をした次第。
 ただ、5月刊行の時代小説(KKベスト時代文庫)が〆切直前。
 担当編集者に風邪を引いたと連絡をしたいのだが、
(〆切間際に風邪、だなんて、言い訳と思われるのではないか?)
 ミエっ張りの私は、そういことがとても気になるのである。
 で、執筆の〝助走〟のつもりで、痛む頭でヨロヨロとブログの更新を始めた次第。
 高校センバツも始まったし、日銀総裁や道路特定財源など、いろんな話題があるが、体調が悪いと、
(だからどうした)
 と、厭世的な気分になる。
 衣食足りて知るのが礼節なら、健康足りて関心を持つのが「社会」ということか。
 そんな中で、思わず目を引いた記事が、「男性専用車両の要望」というやつだ。
大阪市営地下鉄で、男性会社員が痴漢にでっち上げられた例の事件が引き金とかで、鉄道各社も「導入を検討したい」としているという。
 妙な時代になったものだ。
 痴漢されたくないから「女性専用車両」、痴漢に間違われたくないから「男性専用車両」。
《男女7歳にして席を同じゅうせず》
 とは戦前教育だが、
《男女青年になって車両を同じゅうせず》
 ということか。
 だが、「女性専用車両」に乗らない女性、「男性専用車両」に乗らない男性は、どういう位置づけになるのだろうか?
「触られてかまへん女」
「痴漢に間違われてもええがな男」
 そう思われる時代がやってくるのだろうか。
 痴漢に限らず、「悪」をシステムによって解決しようとすれば、新たに別の歪(ひず)みを生む。
 理想論であると承知しながら、諸悪の根源は「心」の問題としてとらえ、解決していく努力が大切なのではないだろうか。
 たとえそれが不毛であろうとも、種を蒔きつづるという姿勢こそ大事なのだと、風邪で痛む頭を抱えながら、私は思うのである。
 

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