歳時記

人間関係は、どうあがいても難儀なもの

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 四苦八苦(しくはっく)とは、仏教における苦しみの分類である。
 根源的な苦しみが、生・老・病・死で「四苦」、これに次の四つの「苦」を加えて「八苦」とする。
 愛別離苦(あいべつりく)/愛する人と別離する苦しみ
 怨憎会苦(おんぞうえく)/怨(うら)み憎んでいる者に会う苦しみ
 求不得苦(ぐふとくく)/求める物が得られない苦しみ
 五蘊盛苦(ごうんじょうく)/あらゆる精神的な苦しみ
 このなかで、
(なるほどなァ)
 と感心するのは、「愛別離苦」と「怨憎会苦」である。
 何に感心するかというと、
「人間関係における悩みは絶対に避けて通れない」
 ということだ。
 だって、そうでしょう。
 愛する人とは「別離する苦しみ」が、怨み憎んでいる者には「会う苦しみ」が人間に備わっているのだから、
「どうあがいても人間関係には悩むもんだよ」
 と仏法は教えているのである。
 このことから私は、こう結論する。
「人間関係に悩む本質は、人間関係そのものよりも、解決不能のことを解決しようとすることにある」
 だから私は、いつも自分にこう言い聞かせるのだ。
「去る者は追わず、来る者は拒まず。追うな、追い払うな、こだわるな」
 人間関係は、たとえて言えば車窓を過ぎていく風景のようなものではないか。
 山もあれば海もある。
 単調な景色に退屈もすれば、青い空に目を奪われることもあるだろう。
 そのすべてをひっくるめて「景色」なのである。
 人間関係もしかり。
 車窓の風景が切り取ることができないのと同様、人間関係もまた、自分の都合よくはいかないもの。
 そのことに気づいたき、人間関係はスーッと楽になるのだ。

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