歳時記

稽古で大アクビ

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 昨夜、稽古の最中、私が大アクビをした。
 すると小学4年生の女の子が、ツカツカと私のそばにやってきて、
「私たちが一所懸命に稽古しているのに、どうして館長はアクビをするの」
 と抗議してきた。
 これには私は驚いた。
 抗議に驚いたのではなく、「自分たちは一生懸命に稽古している」と思っていることに驚いたのである。
 私の眼には、チンタラと楽しそうに稽古しているように見えるが、当人たちは、そうは思っていないというわけで、これには大いに考えさせられた。
 私たち大人は当然のこと、ものごとを客観的尺度でとらえるが、子供たちはそうではなく、「自分の思い=主観」でとらえているということである。
 となれば、「主観的人間」に対して客観的視点から注意しても、言うことを聞かないのは道理であろう。
 したがって子どもに注意するときは、「主観」と「客観」をジョイントする視点なり理屈が必要ということになる。
「いやあ、すまん」
 と、4年生の女の子に謝りながら、
「一所懸命に稽古しているから、ずいぶん上手になったんだろうね」
 と客観的視点へ誘導すべく、そろりと話を振ったところが、
「上手にならないから一所懸命やってるんじゃないの」
 そんなこともわからないのか、という眼で私をニラんだ。
 小学生といえども、ことほどさように女の子の指導は難しいのである。 

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