11月某日、孫二人の七五三で、お宮参りをした。
神社でお祓いをしてもらうので、みんなで一緒に行こうと愚妻が言ったとき、私は憤然として、
「なにを言うか! 末席とはいえ、僧籍にあるものが神社になぞお参りできるか!」
これを伝え聞いた娘は、
「バカみたい」
私の親父は、
「堅いこと言うて、どうしょうもないのう」
そして愚妻は、
「ヘソ曲がり」
娘婿だけが、遠慮がちに、
「そうですか」
と、言葉少なに言ったそうだ。
非難ゴーゴーの四面楚歌。
かつては神仏習合であったし、地元神社に詣でるのは、宗教行為ではなく慣習のようなものだ。
(まっ、いいか)
四面楚歌に屈して、お宮参りにつき合ったという次第。
さて、七五三が終わったと思ったら、今度はクリスマスである。
「あなた、プレゼントは何にするの?」
愚妻がマヌケたことを聞いてくる。
「バカ者!」
「わかってるわよ。あなたは坊さんだと言いたいんでしょうけど、子供にそんなこと、わかるわけないでしょ」
めずらしく理詰めで反論して、
「で、プレゼンは何にするの?」
「娘にきいてみろ」
思わず返事した。
クリスチャンならともかく、日本人はキリストさんの誕生日を祝うのだ。
これもまた宗教行事ではなく、〝慣習〟であるとするなら、意味もなく祝うことになる。
ヘンな話じゃないか。
「おい、どうだ」
私は愚妻に言った。
「我らは仏教徒なんだから、あえてクリスマスの日に、孫たちにお釈迦さんについて話して聞かせたらどうだ」
「いいんじゃないの」
愚妻は、テレビの『水戸黄門』に視線をクギづけにしたまま、上の空で返事したのである。
七五三、そしてクリスマス
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