参院選挙が終わり、自民党の惨敗である。
衆参両院で過半数を割るのは、55年体制以来、初めてのことだ。
「地殻変動」とメディアは報じているが、そのとおりだろう。
パワハラ、セクハラという社会的価値観を持ち出すまでもなく、時代の価値観は確実に地殻変動を起こしている。
だが、自民惨敗のニュースに並列して、「大谷翔平、34号2ラン」の記事。
トランプ関税という日本の危機と、大リーグ・オールスター戦という、アメリカの〝お祭り騒ぎ〟がこれも違和感なく並列して報じられる。
何でもありの時代なのだ。
『盗人に五分の魂』
ということわざがあるが、いまや盗人でさえ、
「社会の貧困が自分を追い込んだ」
と主張すれば、肩を持つ人間もいる。
いい時代になったのか、それてもその真逆なのか。
小泉進次郎は、このたびの選挙の敗因について、こうコメントしている。
「国民が感じている物価高に対する苦しさや痛みに敏感に反応し、対応策を講じることができなかった」
もっともらしく言っているが、要するに、「国民の苦しさや痛みがわからず、したがって何の対策もしませんでした」と言っているのだ。
人気者で、かねてより総理候補の呼び声高い人間にして、この言である。
唐突に『昭和維新の歌』の次の歌詞がよぎる。
権門(けんもん)上(かみ)に傲(おご)れども
国を憂うる誠なし
財閥富を誇れども
社稷(しゃしょく)を思う心なし
嗚呼(ああ)人栄え国亡ぶ
盲(めし)ひたる民(たみ)世に躍る
治乱興亡夢に似て
世は一局の碁なりけり
日本はどこへ行くのか。