歳時記

膝を曲げて歩く

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腰痛、膝痛は「膝を伸ばす」ことに原因があるそうだ。

たまたまユーチューブで見た古武道の大家・甲野善紀氏がそうおっしゃっていた。

本来、日本人は膝は伸ばさず、少し曲げて立ったり歩いたりしていたそうだ。
実際、江戸時代、着物の丈は膝を少し曲げた寸法で測っていたという。
それが明治の時代、外国から「膝を伸ばす」という歩き方が入ってきたことから、いまの歩き方になったとか。

確かに、「お能」の歩き方を見れば、膝に余裕を持たせていることがわかる。

「よし!」
というので、先日から実践である。

膝も腰も悪くはないのだが、ツボに興味がある私としては、次は立ち方、歩き方である。

だが、膝を少し曲げて立つ、歩くというのは実に難しいのだ。
しかも、年寄りくさく見えるのではないか。

「おい、どう思う」

愚妻に意見を求めてみると、
「年寄りなんだからいいじゃないの。好きにすれば」

イヤなことをハッキリ言うのだ。

しかし、考えてみればそれもそうだ。

そんなわけで、「膝曲げ」を継続しているわけだが、やってみて気がついたのは、昔、よく見かけた年寄りのように、手を後ろで軽く組み、少し前傾姿勢で歩くと、ほどよく膝が曲がることに気がついた。
これはひょっとして、昔の年寄りの知恵ではなかったか。
感心しつつ、後ろ手に組んで前傾姿勢で歩くよう努力している。

ついでに言えば、昔の日本人の歩き方は、足で地面を蹴るのではなく、体重を前に移動させ、それにつれて足が前に出るようにして歩いていたとか。

これもさっそく実践である。

だが、後ろ手に組み、前傾姿勢を取り、体重移動させて足を出すと、カッコが悪くないだろうか。

「おい、ちょっと見てみろ」

実際にやって見せて愚妻に意見を聞いたところが、
「ちょっと、頭がおかしい年寄りに見られるわよ」
そして、
「斎場でそんな歩き方をしていたら、ヘンな坊さんが来たと思って、葬儀社にクレームが入るわよ」
ひどいことを平気で言うのだ。

「好きにしろと言ったではないか」
「そこまでヘンだとは思わないわよ」
もっとひどいことを言う。

それからこの数日間。
私が法務から帰宅するたびに、愚妻がジロリと睨み、
「ちゃんと普通の歩き方をしているんでしょうね」

猜疑の目で私を問い詰める。
私は歩くのも楽ではないのだ。

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