歳時記

亭主より饅頭が大事

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今朝、コタツから立ちあがったときバランスを崩し、テーブルの上に尻餅をついた。

「ちょっと、饅頭(まんじゅう)がつぶれるじゃないの!」

愚妻が金切り声をあげた。
テーブルに饅頭を入れた菓子折があり、私の尻に敷かれたのである。

愚妻の第一声は、亭主の身を案じることではなく、饅頭のことなのだ。
「花より団子」であるなら、「亭主より饅頭」ということか。

つまり「風流より実利」で、亭主がヨロけることより饅頭が大事ということになる。

視点を変えれば、煩悩にまみれているということにおいて、「きわめて人間らしい」と評価すべきだろう。
いつもであれば毒づく私も、今年からは「やさしい眼差しと理解」で物事を見ることにしたので、
「ホントだ、饅頭がつぶれてしまったな」

ニコニコ笑顔で言ったら、
「笑ってる場合じゃないでしょ」
怒っていた。

わしの健康より饅頭が大事なのか。

《子供より親が大事、と思いたい》
ふと太宰治の『桜桃』の書き出しがよぎる。

さしずめ愚妻は、
《亭主より饅頭が大事、と思いたい》
ということになるのだろう。

今朝は、愚妻の新年初の日帰り温泉行きである。
混み合う年末年始を避けての初日。
ヨロけて饅頭の上に尻餅をついた亭主に送迎させるのだ。

人生を幸せに生き抜く秘訣は二つ。
「図太く」と「自己チュー」であることを再認識した朝なのである。

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