昨日は、知人の依頼でご葬儀を勤めた。
八十代の故人だったが、悲しみのなかにも、ときおり明るい声が導師控え室に聞こえてくる。
「看取り切った」
という思いがご遺族にあるのだろう。
私が亡くなったときは、こんな雰囲気の葬儀でありたいと思ったものだ。
昨日で法務が一段落したので、今朝は愚妻を日帰り温泉に送ってから久しぶりにマックに出かけた。
ここ一週間、合間をみてゲラの校正をしているのだが、今日は気分転換である。
「寒くないようにして行ってよね。クーラーが効きすぎてるってうるさいんだから」
愚妻に嫌味を言われ、ならばと私は厚手のジーパンにTシャツ、その上から七分袖のシャツ、さらにジャンパー持参。
対策はバッチリである。
8時前と時間が早いせいか、窓際の隅っこの席が空いているではないか。
(ラッキー!)
ここならじっくり仕事ができる。
ところが喜んだのもつかの間、日が射しこんできて暑いのだ。
もちろんシェードは降ろしてあるが、それでも窓ガラスを通して暑さがじわりと伝わってくる。
店内を見まわすと、客は日陰になった席にかたまっている。
みなさん、承知していて、窓際は敬遠しているのだ。
私だけ知らなかった。
席を移ろうかと思ったが、ドジを認めるようでそれも癪である。
余裕の顔を見せて坐っていたが、厚手のジーパンにTシャツ、七分袖。
スキンヘッドに汗をにじませながら三時間超、我慢し、意地になって校正を続けた次第。
昼、マックから愚妻を迎えに行く。
「寒くなかった?」
「ちょうどよかった」
「そう。よかったわね」
愚妻がつまらなさそうに言った。
窓際の席で汗をにじませたと言えば腹を抱えて笑うのだろうが、このクソ暑いときに愚妻を喜ばせることはないのだ。