歳時記

晩年夫婦の「ディール」

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柏市で所用をすませて帰宅。
今日は雨なので、ウォーキングはできない。

「あら、気の毒。残念だわね」

愚妻が憎まれ口を叩く。

このところウォーキングに出かけると、愚妻がいい顔をしないのだ。

理由は、私があちこち痛みを訴えるから。

「外反母趾が痛い」「腰が痛い」「ヒザが痛い」「首が痛い」

私が訴える痛みの箇所に、ロキソニン・テープを貼るのが愚妻の役目なので、

「もう、ウォーキングなんかやめてちょうだい!」

毎度のことなのでヒステリーを起こすというわけだ。

だが、私にも言い分がある。

「好きでウォーキングしているのではない。お前に介護が必要になったときを考え、健康維持のために歩いているのだ」
「ちょっと、どうして私が介護されなくちゃならないのよ! 介護するのは私じゃないの」
「いや、わしだ」

どっちが介護するかで論争になるのだ。

当初、「介護するのは私のほうだ」と言い張って論争するのだから、これはありがたいことではないかと思っていたが、よくよく考えてみれば、
「要介護になるのはどっちが先か」
ということの裏返しでもある。

「介護するのは私じゃないの」
という愚妻の主張は、
「あんたが先にヨイヨイになる」
と言っているのだ。

このことにハタと気づいた私は、いよいよ晩年夫婦の「本格的ディール」が始まるものと気を引き締めたのである。

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