歳時記

余計な一言

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給湯器の具合がよくない。
朝風呂に浸かっていてピンときた。

「給湯器を何とかしろ」
風呂からあがるなり愚妻に命じた。

「壊れたの?」
「バカ者。壊れてからでは遅いではないか。追い焚きしたときの音を聞いてピンときたのだ」
「どうピンときたのよ」
「ピンはピンだ。言葉で説明できるか」

私の役目はここまで。
どこの業者に依頼し、どう話をするかは愚妻の役目。
私は何もわからないのだ。

修理か、新しく注文するか。
さっそく愚妻が手配し、業者が見に来ると聞いて、私はにわかに不安になった。

「大丈夫ですよ」
と業者に言われたらどうしよう。

「ピンはピンだ」
と威勢よく言った私のメンツは丸つぶれになるではないか。

修理ですめば安上がり。
どこも悪くなければ、もっと安上がり。
そして、私は愚妻から非難されるのだ。

余計なこと言わなければよかったと、後悔しているところである。

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