根を詰めると、たちまち肩や首筋が凝る。
ことに原稿に取りかかると、てきめんである。
「ちょっと、根なんか詰めたらダメだって言ってるでしょ」
私に湿布を貼るのが面倒なのか、愚妻が決まってブーブ言う。
「バカ者。根を詰めるのはマジメの証ではないか」
「あなたはマジメに『不』がつくんでしょ」
憎まれ口を叩くが、「不マジメ」もマジメのうちなのだ。
お盆を挟む怒濤の一週間がやっと終わった。
息つく間もなく、先送りした所用や仕事に取りかかっている。
根を詰めるため、本日、すでに肩や首筋がパンパンである。
寄る年波には勝てぬと思い、頑張るのも程々にするつもりでいたが、一昨日のこと。
お盆法要でうかがった90歳のお婆さんに、
「あなたは若くていいですねぇ」
と言われ、目からウロコ。
90歳から見れば、74歳は若いのだ。
(よし!)
と、あらためて一念発起。
隠遁生活も魅力だが、根をつめる生活も捨てがたいものだとマジメに思うのである。