通夜・葬儀の式場はくり返し出かけるので、所在場所はたいていわかっている。
問題は、納骨の霊園である。
法事にうかがう個人宅は、たいてい通夜・葬儀を行った式場近くだが、納骨はそうとは限らない。
先祖代々の墓であれば、県内の外れということもある。
辺鄙(へんぴ)なところにあったり、目につかないような林の一角にあったり。
土地勘はもちろんない。
だから事前にグーグルマップで所在と所要時間を調べ、カーナビでもチェックする。
ところが、グーグルマップに出ているからと安心し、いざ出発の段になってカーナビに住所を打ちこむと、「代表地点」しか出てこないことがあるのだ。
これにはあせる。
民家のない、街外れの、だだっ広い墓地となれば、たどり着けないではないか。
先日の日曜日がそうだった。
この日は納骨、そのあと通夜が入っている。
事前にカーナビに入れてみればよかったのだが、グーグルマップに出ているからと安心し、いざ出発の段になって「代表地点」のみの表示。
(ヤバ!)
ざんざん降りの雨だが、そんなことは言ってはいられない。
クルマから急いで自室にもどり、グーグルマップを起動。
霊園のできるだけ近くの商店をいくつかピックアップし、クルマにもどると、商店の住所と電話番号をカーナビに入れてみる。
(あった!)
これでひと安心となった次第。
私が自戒する言葉の一つに、「努力は裏切らない」というのがある。
何かにつけ、
(面倒だな)
と準備段階で思ったとき、この言葉を自分に言い聞かせる。
だが、魔がさすがごとく、
(ま、いいか)
と横着することがある。
すると不思議なもので、こういうときに限って、
(ヤバ!)
という事態がおこるのだ。
横着してはならないと、あらためて自分に言い聞かせた納骨であった。