歳時記

「人目を気にする」考

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今日は船橋のホテルで四十九日法要のお勤めだった。
船橋まで拙宅の最寄りの駅から電車で25分だが、クルマだと高速でも一般道でも1時間以上かかる。
法事なので荷物は少なく、法衣カバンも軽くてすむ。

ならばというので、電車で出かけた。

クルマだと人目を気にする必要はないが、電車だとそうはいかない。
ご近所の目もある。
地元の知人に出合うこともある。

だから服装には気を配る。
何事も形から入るのが私流なのだ。

着物の夏羽織を「坊主用」に仕立て直し、ファスナーを取りつけてもらった濃紺のやつを黒い法衣の上から着る。

黒い茶人帽をかぶる。
肩に掛けるポーチも目立たぬように黒色のやつを用意し、ふくらむと格好が悪いので、中に入れるのは必要最小限にする。

駅まで10分ほどだが、倍の20分をかけてゆっくりと歩いていく。
坊さんがセカセカと急ぎ足だとみっともないし、第一、汗をかくと鬱陶しいではないか。
だから、ゆるりと涼しい顔をして歩くのだ。

電車はガラ空きだったので坐った。
いつもは足を組むのだが、法衣を着ていてそうするのはカッコが悪かろう。
スマホをいじるのは坊主には似合うまいと思い、すまし顔で姿勢よくしていた。

だから疲れた。
帰宅したらゴロリである。
人生の苦は、まさに「人の目を気にする」にあるということがよくわかる。

せっかくだから、このことを愚妻に説いてやると、フンと鼻で笑ってから、

「唯我独尊、傍若無人、自分勝手。これ、全部あなたでしょう。人目を気にするなんて信じられないわ」

ひどいことを言う。
だが、よくよく考えてみると、人目を気にするようでいてマイペースかもしれない。
どうやら私の場合、「人目を気にする」ということを遊びで楽しんでいるところがある。
そう、遊びだから疲れるのだ。

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