歳時記

「薄情者」という怒り

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昨日、法務から帰宅し、白衣を自分で洗濯した。

練習のため、
「わしが干すから洗濯物に触るでないぞ!」
愚妻に厳命し、外に干した。

白衣一枚ではあるが、洗濯から外干しまでするのは初めての体験で、私にとって記念すべき日となった。

もっとも、取り込むということにまで気が回らない。

夕刻、愚妻がブツブツ言いながら取り込んで、
「私が入院中、洗濯をしなくてもいいように、白衣をあと何枚か買っておかなきゃだめみたいね」

で、さっそくネットで3枚追加注文。
これで何枚になったか知らないが、とりあえず洗濯しなくても大丈夫の計算だと言っていた。
ひと安心である。

ガンは国民の2人に1人が罹患するそうだ。
メジャーな病気なのである。

「乳ガンくらいで大騒ぎするな」
洗濯のあとで私が言うと、愚妻がムッとした顔をする。

そういえば過日の医師との面談でのこと。
手術は乳房の全摘か、少し残すかと問われ、
「おい、面倒だから全摘のほうがさっぱりしていいんじゃないか」

横から私が愚妻に言うと、
「ちょっと、ご主人。これは奥様の問題ですから」
医者にたしなめられた。

結局、少し残すことになったが、
「おまえ、若くなくてよかったな。その歳になれば、乳房なんてあってもなくても同じようなものだ」

帰途の車中、元気づけるつもりで言ってから、ふと、
「あれ? 乳ガンはどっちのオッパイだったっけ?」

さすがにこのときは薄情者と言って怒っていた。

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